異国情緒溢れる長崎県にある日本最古の唐寺『東明山 興福寺』に行ってみた

東明山 興福寺

 長崎県長崎市にある日本最古の唐寺、『興福寺(こうふくじ)』に行ってきました。

 唐寺とは江戸時代初期頃に長崎に居留していた中国人(当時は清国人)の為に唐人墓地と共に造られた寺院の事で、他に「福済寺」と「崇福寺」を称して「長崎三福寺(ながさきさんぷくじ)」と呼ばれております。

 この寺院の近くには坂本龍馬が作った日本初の商社「亀山社中」がある事から、恐らく龍馬も参拝しただろう極彩色の唐寺を御案内したいと思います。

 ※「唐」とは、中国の王朝の事で日本が飛鳥時代中期から平安時代初期頃にありました。

 その唐の国には、日本から遣唐使を送る等し当時最新の文化を輸入したりした為、それらのインパクトが日本によっぽどあったのか、中国の王朝が変わっても珍しいものは「唐物」といい、国名も唐と言い続けました。




石壁

 「興福寺」がある場所は長崎の市街地の山端の城壁の様な石垣が建ち並ぶ場所にあります。

 近隣の住職さんにお話しをお聞きした所、江戸時代より火事の多かった長崎では、火除け地として山の麓一帯を城壁の様にしたそうで、また、有事の際(戦争)には本当に城壁となれるようにもしてあったそうです。

▼山門

山門

 「興福寺」の『山門』は、長崎県の有形文化財に指定されております。

 現在あるものは2代目のもので、元あった山門は、中国人の大工によって江戸時代の承応三年(1654)に建てられましたが、建立から9年後に起きた長崎大火で寺域そのものが全焼してしまいました。

 その後に現在の山門は元禄三年(1690)に再建されましたが、先の大戦で無辜の民の頭上に落とされたアメリカによる原子爆弾によって山門も大破してしまいましたが、その後に復元されたものです。

 歴史を感じる赤門をくぐり境内に入ります。




▼拝観料と拝観時間

チケット

 拝観料は、大人300円/中高生200円/小人100円が必要です。

 365日拝観する事が出来ますが拝観時間は、8:00~17:00となります。

境内

 境内はそこそこ広いですが、歩いて直ぐに本堂、本堂前には鐘鼓楼が見えます。

鐘鼓楼

鐘鼓楼

 本堂右前にある『鐘鼓楼』も初代のものは長崎大火で焼失してしまった為、元禄四年(1691)に再建されたものです。

 色合いこそ唐物の様になっておりますが建築様式は和風で、見どころは、屋根の鬼瓦が外向きに置かれ、大黒天像が内向きという「福は内、鬼は外」の意味を持たしている点です。

▼中島聖堂遺構大学門

中島聖堂遺構大学門

 そして、本堂の左前には長崎県の指定有形文化財に指定される『中島聖堂遺構大学門』があります。

 これは、儒者・向井元升が私財を持って正保四年(1647)に建てた孔子廟と学舎に設けられた門の遺構です。

 昭和三十四年(1959)に保存のため現在の地に移されたものです。

御堂

 門をくぐった中には、日本では珍しい孔子を祀る「大成殿」があります。




▼三江会所門

三江会所門

 本堂前にあるこの『三江会所門(さんこうかいしょもん)』と言います。

 これは、明治に入り江南・浙江・江西出身の中国人の菩提寺である興福寺に、彼らの祖先の霊を祀る三江祠堂を建てました。

 しかし、原爆にって大破し、現在はこの門だけが遺っております。

硯

 門の外側の両側には巨大な「硯」が置かれております。

硯

 人間サイズ程もある巨大な硯はあくまでも飾りですが、日本にはない珍しいものを観るのは楽しいです。

豚

 この門の敷居は「豚返し」と言われる中国の様式で高く造られております。

 そのままですが、家畜である豚が入らないようになっているそうです。

資料室

 また、門に造られた小部屋には今では珍しい物が飾られております。

 その中で、僕が気になったのは真ん中に見える木の箱です。

棺桶

 この木の箱は、「唐人さんの寝棺」といい中国人(清人)さんの棺桶です。

 知らずに観ると不気味に思いますが、生前に作り寝室に建て掛け健康・長寿を願った縁起物だそうです。

 日本では寝室に棺桶を置くなんて信じられないですが、異国文化を思うと面白いですね。




▼大雄宝殿(本堂)

本堂

 そして「興福寺」の最大の見所である重要文化財に指定される本堂『大雄宝殿』です。

 この本堂も元は江戸時代である寛永九年(1632)に建てられましたが、前述の長崎大火によって焼失してしまった為、約50年後の元禄二年(1689)に再建されました。 

 しかし、幕末の慶応元年(1865)に暴風によって大破し、明治十六年(1883)に再建し現在に至ります。

 この本堂は、中国工匠による純粋の中国建築で物珍しさも重なり、見飽きない造りになっております。

本尊

 中国明清風の日本では珍しい堂内の正面壇上には本尊の「釈迦如来」、脇立は「準提観音菩薩」と「地蔵王菩薩」が祀られております。

 この本堂を大雄宝殿と呼ぶのは釈迦(大雄)を本尊として祀っているからだそうです。

格子

 日本の寺院にはない氷裂式組子の丸窓も面白いです。

▼瑠璃燈

 この写真じゃ観ずらいですが、中央に架けられる灯篭は『瑠璃燈』といい、長崎市の市有形文化財に指定されるものです。 

 中国工匠による作で上海より運ばれ、堂内で組み立てられたそうです。




本堂横

 本堂への参拝後、右横にある「媽祖堂」へ向かいます。




▼媽祖堂

別堂

 本堂横にある『媽祖堂(まそどう・ぼさどう)』は、長崎県の有形文化財に指定されており、航海の守護神とされる「媽祖」を祀っております。

 この建物も長崎大火で焼失してしまっている為、それ以降に再建されたものと云われております。

本尊

 媽祖堂内に祀られる「媽祖」は、中国の宋代に起こったとされる土俗信仰と云われており、中国から国内外へと遠路を航海する全ての船舶に祀られていたそうです。




▼旧唐人屋敷門

唐人町

 興福寺の観光後、最後に境内に置かれる国の重要文化財に指定される『旧唐人屋敷門』も観ておきましょう。

 この門は、江戸時代に長崎の出島付近に形成された唐人町で唯一残る唐人屋敷の遺構で、建築年代は不明ですが長崎大火後のものと推定されております。

 中華様式の物を観る事が多い長崎では意外に思ってしまいますが、当時のものはコレだけしか残っておらず、昭和三十五年に保存の為、中国にゆかりの深い当寺院に移築・復元されました。




▼御朱印

御朱印

 最後に、いつもの通りスタンプラリー感覚で御朱印を頂き寺を後にしました。

 以上で、異国情緒溢れる長崎県にある日本最古の唐寺『興福寺』のご案内となります。

 日本にあって中国様式の珍しい伽羅を観られる寺院は、近くて遠い異国の地に眠った唐人達の思いを感じれる場所になっておりました。

 皆様も訪れてみては如何でしょうか。

 御精読有難うございました。




▼アクセス

住所:〒850-0872 長崎県長崎市寺町4−32